従業員をいきなり解雇したらどうなるか?|弁護士 面川典子

従業員を、解雇したことにより係争が起こり、当事者間での話し合いで解決できなかったとき、どのような流れで解決がはかられていくのかの典型的で事例をご紹介致します。実際には、個々の状況を詳細に見て行く必要がありますので、手続きの流れの参考としてご覧ください。

今回の事例は、遅刻の常習者で、欠勤も多く、無断欠勤もあるBさんを、就業規則に従い、解雇予告手当てを支払い解雇したというものですが、これが事実があっても直ちに認められるというものではなく、非常に悪質だったり、何度繰り返しても反省が無い、などの事情が必要です。 会社の主張が認められるためのハードルは、普通の人が考えるであろう基準より高いものであると言うことです。これについては、3月11日の私のブログをご参照ください。リンク 解雇ー解雇権の濫用とは

同じく今回の事例では、Bさんは労働局にあっせんを申立ています。一般に、労働局のあっせんの解決金額は訴訟等に比べ低いと言われていますので、この段階で和解しておけば金銭的時間的な負担が少ないことも多いのも事実です。この以前の段階で労働問題に詳しい弁護士に相談して、係争の見通しをたてておくことをお勧め致します。

——————————————————————————————————————————————————————-会社側が、「勤務態度不良者」をいきなり解雇したらどうなるか?

事例:運送会社A社は、遅刻の常習者で、欠勤も多く、無断欠勤もあるBさんを、就業規則に従い、解雇予告手当てを支払い解雇した。従業員のBさんは、不当解雇だとしてこれに納得せず、争いになる。

                

Bさんから不当解雇だとA社に苦情がきたが、解雇事由にあたるとし、解雇予告手当ても支払ったと解雇を譲らず

                

Bさんは労働局のあっせんを申立て
・費用もかからず手軽に利用できる手段
・解決金額は訴訟等に比べ低いと言われている

                

A社はあっせんを拒否

                

Bさんは、やむなく弁護士に相談した。弁護士から、A社に「解雇無効」の内容証明が届く

                

A社は内容証明を無視

                

Bさんは納得がいかず、弁護士と入念に準備の上「地位確認」の労働審判を申立てる

                

労働審判の開始
管轄の地方裁判所から労働審判の書類が届く
約30日後に第1回期日~第3回期日

                

〔調停成立〕
「地位確認」の申立であったが、今は会社に戻る意思はないと述べたことから、
会社も復職を望まず、1年分の解決金を支払うことで合意した。 A社は、240万円を支払う(20万/月給×12ヶ月)

 

※審判となった場合で2週間以内に、異議がでれば訴訟に移行します。労働審判と訴訟は別の手続き。連動していないので、改めて主張立証が必要になります。

2015年10月26日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : 面川典子(弁護士)