労働者派遣法改正案(厚生労働省)|弁護士 面川典子

厚生労働省は、12月12日の労働政策審議会に、労働者派遣法制度の見直し案を示しました。これは、8月9日にこのサイトでも関連情報として取り上げました厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」が行った派遣労働の上限制限などの規制を実質的に緩和する8月6日の報告がベースとなっているものです
厚生労働省は、この案を基に年内に最終案をまとめ、来年の通常国会(通常は、1月に召集されます。)に労働者派遣法の改正案として提出する方針と報道されています。

派遣制度見直し案のポイント
1.特定・一般の区別を撤廃し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。
2.有期雇用の派遣労働者は同じ職場で、3年を超えて働くことができない。
3.人材派遣会社に無期雇用された派遣労働者、60歳を超えた派遣労働者は3年を超えても同じ職場で仕事を続けられる。
4. 専門26業務の区分を撤廃し、期間の上限を「業務」ごとから、「人」ごとに変更する。
5.派遣先企業は、労働組合の意見を聞けば、同一の事業所で3年を超えても、派遣労働者の受け入れを継続できる。
6.登録型派遣・製造業派遣は、禁止しない。

今まで、「専門26業種」の契約の現行制度と、厚生省の見直し案を比較すると次のようになります。今まで、派遣期間に制限のなかった専門26業種については派遣労働者、受入企業、派遣会社ともにとくに対応を求められることになります。

(現在の派遣制度)
派遣元との契約形態 派遣期間
一般労働者派遣 登録型派遣 派遣期間に制限なし
特定労働者派遣 無期雇用 派遣期間に制限なし
有期雇用 派遣期間に制限なし
(厚生労働省の見直し案)
労働者派遣 特定労働者派遣 同一組織単位への派遣は最長3年
無期雇用 派遣期間に制限なし
有期雇用 同一組織単位への派遣は最長3年
2013年12月17日 | カテゴリー : 労働者派遣 | 投稿者 : 面川典子(弁護士)